Linen・リネン(麻)の話 / Dictionary

Linen・リネン(麻)の話 / Dictionary

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リネン(麻)の話 / Dictionary

またまた新企画(ちゃんと続けたいと思ってる)


第1回目として(読む場合はカテゴリーからランダムでしょうけど)まずはリネン=麻、の話をしようと思っています。

 

 

うん。

辞書=dictionary

と題して、ショップオーナー、バイヤーでありデザイナーでもある僕的な目線で(もちろんかなり独断と偏見と自分自身の経験値)生地や革、ボタン、ファスナーなどの素材や型紙(パターン)や作り、縫製などなど+経年変化などにまつわることなどを書いていこうと思っています。

注意点はあくまでこれは専門家とかそれを仕事にしている人間ではなくそれに関わる側である僕の目線ですのでこれが答えと思わずにお願いしますね。

 

さて、そんなこんなで第1回。

 

リネン、麻と良く言います。

実はその他にもラミーとかヘンプとかジュートとか色々と麻の進化系的な呼び名もあります。

ごく稀にヘンプの素材でのウェアなども存在はしますが(たしか〜僕の記憶だとインド系雑貨屋などに売っているバサッとした服やパンツ、あとはボブ・マーレー的なお店とかでバックとかね)基本的には少し肌触りが良いものではないのであまり使われない。ジュートってのはいわゆる麻袋としてコーヒー豆を入れる袋だったりラグマット的なところで使われたり。

僕ら的な洋服業界だと主にリネン、ラミーというのがメインです。

 

麻 アサ / 別名:大麻 繊維名ヘンプ アサ科 Cannabis sativa
苧麻 チョマ / 別名:カラムシ 繊維名ラミー イラクサ科 Boehmeria nivea var. nipononivea
亜麻 アマ / 繊維名 リネン アマ科 Linum usitatissimum

 

で、リネンのラミーの違いなどもありますがざっくりだとラミーの方がリネンよりも光沢が強いイメージ。ただしこれは生地として織る前の糸の処理や100%素材か混紡素材かなどなどで大きく変わることもあるので一概にそういう先入観を持たない方が良いというのが僕の素材選びの基本で、あくまで仕上がった生地の雰囲気でそれがどのようなモノになっていくのかをイメージすることを大切にしている。

 

  • 通気性の良さ
  • 吸水性の高さ
  • 水に濡れることで強度が増し洗濯に強くなる
  • 美しい光沢がある(これは麻特有の輝きだと思ってる)
  • 引っ張る力に強い
  • しわになりやすい(すぐわしゃわしゃっとなるのが僕は逆にメリットだと思っているからあとで写真を掲載する)
  • 水に濡れるとさらにしわになる
  • カビに弱い(天然繊維ならでは)
  • 摩擦や水に濡れた状態で毛羽立ちやすい
  • 硬く伸縮性がない(だから僕はウレタンなどが混じった混紡生地を選ぶことが多い)
  • 繊維が固く、肌にチクチクとした刺激がある(そういった生地は選ばない)
  • 保湿に乏しい(さらっとしてるからね)

 

などなど特性がある。

 

どうやら紀元前から使われてきた天然素材の繊維で生地としては最古のものだって記述もあるんだって。すごいね。素敵。ミイラを包む生地としても使われていたりもするらしい。グレイト。

日本でもすごく大切にされてきた素材でヘンプなどは古来ずっと使われていたものであるし、神事とかにも沢山使われている。

神主(神官)さんとかが「ふぁさぁ〜」って振る大幣、大麻(どちらも「おおぬさ」と言うんだって)も麻素材であったり、神官さんたちが着る衣装も大抵は麻の素材だそうです。俺も勉強になりますな。ふむふむ。

もちろん大麻(マリファナ)の主原料でもあるのでどんなモノでも使い方次第っていう深い話にもなりますね。

んで、リネンの発祥はユーフラテス川などいわゆる小アジア付近とされているみたいですが現在の主な産地はフランス北部やベルギーといった比較的寒い地域が中心のようです。僕も素材探しの際に見かけるのはやっぱりフランス産かベルギーとかが多くて、あとは国産などです。

対してラミーは熱帯、亜熱帯地方が多くて中国(湖南省、湖北省、江西省、四川省、浙江省他)やブラジル、フィリピン、インドネシア等で栽培されているんだそうです。

こうやって調べてみると北欧かぶれな僕らはついリネンのがかっこいいなぁと思ってしまう悪い癖。。。そうじゃない!あくまで仕上がりの雰囲気で決めないとダメですよ。そうじゃないとただの頭でっかちこっちきになっちゃうからね。

 

さて、リネン、麻ですが一般的なイメージとしては「春夏素材」と分類されている感じがします。実際に生地屋さんなどでもそういう感じ。春夏になるとリネン推します〜的な。

でも実際は・・・

 

リネンの繊維は中が空洞になっていて、空洞部には空気が含まれます。その空気が余分な熱を逃がすことで夏は涼しく、冬は中の空気が熱を保持するために温かく感じられます。
このように、リネンは天然のサーモスタットのような性質を持ち、通気性、保温性に優れています。

リネンは涼しげな見た目で夏の素材だと思われている方も多いかもしれませんが、実は春夏秋冬一年を通して使用することができる素材なのです。

— こちらより引用させて頂きました

 

実際に僕はもう10年以上着続けている Juvenile Hall Rollcall の冬用コートがありますが、これは生地の70%くらいがリネンで残りがコットンですが冬でもかなり保温性があって暖かい。

また別途 Dictionary へ加えていきますが実は WOOL(羊毛)なども似たような素材特性があって「暖かくしてくれる保温性と真逆の保冷性も備わっている」すごく優れた素材なのです。

※ ちょっと何巻かまでは覚えていないけどこれは浦沢直樹が描いている「マスター・キートン」にもその記述が出てきますので要チェックです

化学繊維を否定はしないしストレッチ性を生み出すウレタン(エラスタン)やレーヨンなど素敵な素材も多いですがリネンやウール、あとはベーシックですがコットンなどなどやはり天然繊維というのはある種の「生き物」的な意味も含めてやはり極上の機能性を持っているのだなぁと思うし、それが自然派性であることの素晴らしさやそれを生地や素材として作り出して人間の知恵と歴史に感服です。

 

さて、ここからはさらに独断と偏見ですが僕がリネンを好む最大の理由はある点からみるとデメリット点とされる「シワになりやすい」という特徴です。

早速写真でご覧下さい。(それぞれ上が撮影程度の着用、下が3時間程度しっかり着用後)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もうこれだけで白米食べれるくらいグッとくる。(俺だけ?)

この撮影をするために確かにちょっとしっかり目に着た(袖をちょいっと捲った理とかね)のは確かですが八百長とかじゃないので少なくとも1日ずっと着用していたら誰でもこんなんになりますよ。

 

 

 

 

 

 

いいですなぁ〜。

本当に。

 

「シワ」が「刻まれていること」

 

たったそれだけのことです。

本当のホントのことを言えば(デザイナー目線)今ではこういったシワの加工すらも製品時に作ることも可能ではあります。技術の進化も素晴らしい。

でもでもでも、このくらい、数時間でこの「自分だけのシワ」が刻まれるのであればこんな風に僕はビフォーとアフターをご覧頂くことで自分だけの育て方をして欲しいと思うしそういった意味でやはりリネンとか革とかって魅力的な素材だなぁと改めて思うのです。

※ 写真のアイテムはちなみにこれでもリネン50%、レーヨン47%、エラスタン3%の素材です。リネンの含有がもっと多いともっとシワ感がついたりもする可能性がありますがそれらは上にも書いた通りそれぞれの素材の糸の太さや織る前の処理などによっても変動しますので一概に〜って考えないのが大切です。

 

 

ざざざーっと引用させて頂いた記事も使ったり(僕も改めて調べることですごく勉強になります)自分なりのモノへの向かい方のマインドにもつながればいいなって思っています。

 

今後もこの記事の追記も含めてこういった辞書=Dictionary を増やせていけたらいいなぁと思っています。

※ あくまでこれは専門家とかそれを仕事にしている人間ではなくそれに関わる側である僕の目線ですのでこれが答えと思わずにあくまで僕の独断と偏見的な読みものとしてお願いしますね。